AKとbeyerdynamicのコラボ T9IEレビュー


はしがき


お久しぶりです。

多忙でブログの方を更新できなかったことをお詫び申し上げます。

昨年末に以前から気になっていたT9IEが生産終了という告知を受け急ぎ購入しました。

2019年10月18日発売で14万円ほどのイヤホンになります。

このT9IEは大韓民国の企業Astell&kernとドイツの企業beyerdynamicがコラボしたイヤホンとなっています。

今回のT9IEはT8IEシリーズの後継機に当たります。



beyerdynamic


T9IEについてレビューさせていただく前にイヤホンの製造元であるbeyerdynamicについて触れておきたいと思います。

beyerdynamicはご存じの方も多いですがドイツに本拠地を置く世界的なヘッドホンメーカです。

プロ用スタジオヘッドホンで大きく存在感を発揮している企業という印象です。

1937年に世界初のダイナミック型ヘッドホンDT48を開発したことで知られています。

DT48は型番を変えながらも販売され続けましたが2012年に検聴用を除いて廃盤になっています。

stereophile.comより引用


beyerdynamicを語るうえで外せないのはDT770・DT880・DT990という名称のスタジオヘッドホンです。

DT880の登場が1980年、DT770・DT990の登場が1985年ですので登場が40年ほど経過していますがベストセラーとして売れ続けている傑作です。

40年の歳月の中で様々なマイナーチェンジが施されて継続して販売されていますがドイツの本社工場製造には変わりはありません。

設計年度が古くリケーブルができないのは不満点ですが質実剛健な外観と安定した高い音質を併せ持つ優れた機種群です。

SONYのMDR-CD900STにも通ずるものがありますね。



テスラテクノロジー


近年のベイヤーダイナミックを紹介する上で欠かせないのがテスラテクノロジーと呼ばれるベイヤーダイナミックが誇る独自技術です。

   T5 3rdGenのテスラドライバー

テスラドライバーを簡単に説明すると、一般のヘッドホンで振動板を制御するのに使用されるマグネットをテスラドライバー搭載のヘッドホンでは1テスラを超える磁力が強いマグネットを採用することで振動板の駆動の最適化を図る技術です。

ベイヤーでは2009年発売のフラグシップシリーズT1,T5の採用を皮切りにモニター、リスニング用途を問わず数多くのヘッドホンで採用しています。

初代T1:10万円越えという値段が度肝を抜きました

無論、磁力の強さのみが音質の良さを直結するわけではありませんのでベイヤーのドライバー、ハウジング、加工技術といった設計思想の優秀さが優れたオーディオ機器を生み出していると思います。

Astell&Kern


Astell&KernはDAPなどのポータブル機器で有名な韓国の企業です。現在様々な企業が高級DAPをリリースしていますがその火付け役こそがAstell&Kernです。
Astell&Kernはポータブルオーディオ機器の開発を通してイヤホンの音質特性に精通しておりベイヤー以外にも数多くのイヤホン・ヘッドホンメーカーとコラボしています。
2021年秋にはこれらのノウハウを結集させた自社独自開発のイヤホンAK ZEROを発売しました。
平行駆動式ドライバー、ダイナミック、BAのハイブリット型で他に類を見ない異色の構成ですが音に歪みがなくピュアオーディオを意識したのかクリアで綺麗めな見事なイヤホンだなと感心しました。
現在8万9000円ほどで販売しておりSONYのIER-M9よりもこちらの方が好みかなと思います。

DAPの方も精力的に活動しておりほぼAKのみの規格だった2.5mmバランスからSONYの4.4mmの規格へと移行しています。
最新のフラグシップモデルはSP2000Tで真空管とオペアンプの切替・ハイブリットで運用できるユニークなモデルです。
真空管モードでは思ったよりも効果は薄いと感じます。
あくまでオペアンプ主体に残響や立体感が少し加わった音質に仕上がっています。
SP2000の発展系というよりは少々マイナーチェンジを加えたモデルに仕上がっていますね。



デザイン・装着感


話が脱線しましたがT9IEのデザインについてです
デザインは10万円超の高級イヤホンらしい風格を備えています。
特徴的なハウジングのカット加工・ハウジング表面の仕上げなど光の当たり方によって表面の明暗が表現されるのは他のメーカーには真似できない素晴らしい技術だなと思います。
DAPでもそうですがオーディオ製品のデザインの加工精度・造形はAKの独壇場ですね。

装着感はダースベイダーチップと称される特殊な形状のイヤーピースのせいか適したサイズ・ポジショニングを模索するのに苦労します。
だた、一回装着すると耳から脱落することがなく、イヤホン自体も軽いためかなり装着感は良好の部類です。

音質


音質についてですがDX200との接続でレビューします。

第一印象としてはまず大型ヘッドホンを踏襲しているような音の鳴り方であったのが特徴的です。
全体的に音場が広く音同士が窮屈になったりしない大型ヘッドホンのような余裕のある音質だなと思います。

また、高音域から低音域までの音の繋がりがスムースなのもダイナミック機の理想的な出音傾向かなと思います。
このT9IEは能率が良く出力が貧弱なスマホでも余裕で音量自体が取れるイヤホンですが少し大音量にしても歪みを感じることがないのは設計の優秀さを思い知ります。

基本的にどんなオーディオ機器に合わせても音の傾向はそのままで性能を発揮するための環境整備の要求が低いのもアマチュアからマニアまで扱いやすい機種だなと思います。

音質は10万円超のダイナミック機の基礎スペックは有しながらも他のイヤホンにありがちな強烈な個性はないので普段使い用には非常に有力な選択肢の一つかなと思います。
またケーブルについてですが付属のバランスケーブルありきでチューニングしているのかなとも思いました。
NOBUNAGA Labsの2.5mmバランスケーブル「胡蝶」とも接続してみましたが純正の魅力であった程よいグルーブ感・スムースさが失われあまり良い傾向にはなりませんでした。
一般の安いイヤホンではケーブルに開発費をかけず安いグレードのものを付属しているメーカーも多く見受けられますがT9IEに関しては純正の品質の高いケーブルのままで利用されるのがおすすめです。


総括


今回のT9IEは10万円台のダイナミックイヤホンの中では傑作機と呼べるような確かな音質を持った機種です。
AKが設計した美しいデザイン造形もさることながらベイヤーのテスラテクノロジーによる歪みのないスムースな音でHIFIサウンドを意識したかのような高純度な出音が魅力的です。

また、音質のくせが少なく普段使いにもってこいの他オールジャンルで使えるなど日常使いには最適解の一つかなと思います。
生産終了が誠に残念にならない機種です。
在庫が8万円ほどで販売しているショップもありますので是非1度手に取っていただきたい素晴らしいイヤホンです。

informate

気に入った製品、趣味をレビューしていきたいと思います。更新は不定期ですがよろしくお願いいたします。

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