SONYの名機 MDR-EX1000レビュー

イヤホンには卓越した音質を誇りロングセラーとなっている機種が存在します。

今回は2010年にリリースされて以降8年発売されたSONYのMDR-EX1000のレビューです。


MDR-EX1000は2010年当時SONYのスタジオモニターイヤホンシリーズEXシリーズの最上位として位置づけられたイヤホンです。

価格は6万円程で今ではこの価格帯のイヤホンは数多ありますが当時は数えるほどしかありませんでした。

MDR-EXシリーズのイヤホンは数多く発売されましたがEX1000の直系の下位機種にMDR-EX600がありました。

MDR-EX600は当時販売価格24000円ほどでEX1000と同じドライバーを搭載されておりEX1000をベースに廉価にしたモデルでした。

価格も安かったので人気があったイヤホンでした。


正統派なモニターイヤホンとしてはMDR-EX800STがあります。

EX800STではEX1000の刺さりを抑えるため高音域の周波数を下げておりEX1000に比べると地味な印象を受けます。

ただMDR-EX1000に比べると音の脚色がない分正確に出音し長く聞き続けられるサウンドチューニングです。

プロユース向けですので保証はありませんが新品が2万円程で入手可能でSONYダイナミック機のサウンドを持つ最後の機種となっています。



デザイン・搭載ドライバー


ハウジングはマグネシウム合金です。

現在のSONYのハイエンドイヤホンにも使用されている素材です。

表面塗装は茶色で光を当てると光沢が現れる仕様になっています。

また、鏡面仕上げとなっており反射があります。

ダイナミックドライバーが16mmとイヤホンでは大型でドライバーを強調するような流線形になっています。

黒色で塗装されている箇所には細かい凹凸があり加工精度の高さを伺えます。


裏面のSONYロゴは別パーツで細かい横線が彫られた金属パーツとなっています。

リケーブル可能ですが2010年発売のためSONY独自仕様となっており現在主流のMMCX端子ではありません。


ドライバーユニットはこのようになっており16mmドライバーが搭載されています。

振動版は液晶ポリマーフィルムとなっており後継機種はアルミニウムで振動版をコーティングされています。



スペック


感度 108 dB/mW

再生周波数帯域 3-30,000 Hz

インピーダンス 32 Ω(1KHz)

最大入力 200 mW

2010年発売のためハイレゾ対応ではありません。

ノイズを軽減するためインピーダンスが32Ωとなっており感度は高めで少し能率の悪いイヤホンです。



インピーダンス


インピーダンスを測定すると基本的に33Ωを保っていますが5.6Khzあたりで42Ωまで上昇しています。

このインピーダンスの上昇がMDR-EX1000の特徴となる煌びやかな高音を生んでいます。


音質とか


視聴環境はウォークマンZX2+MDR-EX1000(純正ケーブル)

DSEE HX,VPTなどの音質補正機能はすべてOFFにしています。


装着感は耳掛け型の恩恵かイヤホンが上手く外耳道にはまりずれることはありません。

ただドライバーの影響でハウジングが出っ張っていますので耳からはみ出すのが難点です。

通気口がありますので遮音性は低いです。

出音孔は太いですのでJVCのスパイラルドット系を使用しています。

高音がきれいに鳴るイヤーピースですので。



試聴曲はハイレゾZARD Forever Bestより「来年の夏も」

この曲はZARDのアルバム曲の中で最高傑作と呼べる曲です。

1番はアコースティックギターとパーカッションの伴奏で坂井泉水が歌うしっとり目な構成

2番からはドラムが入り少しロックっぽい風潮に変化し途中からサックスが入る

2番サビ後からはピアノが入りフェードアウトにピアノソロ

という構成が良く練られた楽曲です。

曲の進行によって曲が煌びやかになるのが特徴です。


MDR-EX1000で聴くとアコースティックギターはJVCのHA-FX1100のように生々しさは劣りますが解像度が高いですので演奏が手に取るように分かります。

ピアノは超高音は性質上出ませんが音の響きが感じられ非常にエモーショナルに感じます。

音場は広くボーカルと伴奏がしっかりと分離して聞こえZX2の高い空間表現力も合わさりレコーディングスタジオにいるように感じます。

ボーカルの位置は若干遠く感じ、全体を俯瞰しているような印象です。



周波数特性は広めで高音寄りでモニターらしい脚色があまりされていない出音です。

緩急自在という評がふさわしく曲調に従順に追従してくれます。

高音寄りとは書きましたがリスニング機にありがちな脚色された出音ではなくあくまでナチュラルに表現しています。

高音寄りにチューニングがされていることで刺さりを感じる時もありますが煌びやかな印象を受け音の余韻をしっかりと感じ取れます。

モニターイヤホンですので解像度が高く音を感じ取れるのはもちろんのこと全体を見据えてリスニング可能な機種です。

低音は量感は他のSONY機、JVC woodシリーズほどありませんが分析的なタイトで質の高い出音です。

音の分離の良い遠くから俯瞰しているようなサウンドチューニングに加え高音の煌びやかさが相まってモニター機でありながらリスニング用途でも十分に使える点

この点が本機を長らくモニターイヤホンの金字塔として唯一無二の存在にしたと思います。




総括


本機は長らくモニターイヤホンの金字塔として高い評価を受けてきました。

このことは2014年に新たなフラグシップXBA-Z5が登場してからも販売が継続されたことが物語っています。

モニターイヤホンは基本的には分析的な出音で周波数特性はフラット目の方が一般的ですので本機はその点においては異色な存在だったと思います。

モニターイヤホンとしては兄弟機EX800STの方が正統派です。

ただ完全なモニターイヤホンではないながらもリスニング向きとしても楽しめる多目的に使用できるイヤホンであると思います。

イヤホンとしては驚愕するほどの広い音場、正確に描き分ける分解能を持つMDR-EX1000

この性能がダイナミック機の名機として広く知られるようになったのかと思います


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気に入った製品、趣味をレビューしていきたいと思います。更新は不定期ですがよろしくお願いいたします。

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